トランスファー加工方式の新しい位置づけ：

　順送加工方式に比べ、同一加工内容では、材料歩留と加工品質では優位とされながら、段取り時間や加工スピードでは及ばなかったため、絞り加工を中心に使用されて来たトランスファー加工方式が、プレス加工の一段の展開と共に、プレス加工システムとして、これまでとは異なった見方がされる様になりました。
（参照：下記の新しい活用例）

　長年お客様と協同で取り組んで来たLEMブランドのトランスファー・システムの歩みとそれがもたらした高品位化とコスト低減化両立の実績による点が少なくないと判断します。

　この実績を要約するならば「高い再現性」と金型製作費/維持費も含めた「トータル・コストの最適化」を、生産機器として高いレベルで具体化できたこと、特に最近では、これらの実績を踏まえて、 製品立ち上がりの大幅な短縮が享受される様になった点などを挙げることができ、換言すると、技術的前進が経営的全身と表裏一体化できるレベルになり始めた現実に集約できます。

LEMトランスファー・システムのこれまでのキー・データ：

• 呼称能力：10トン～600トン
• ストローク長さ：50～400mm
• トランスファーフィード長さ：30～300mm
• 板厚：2/100mm～3mm（その他ビレット方式による精密鍛造加工あり）
• 常用加工スピードの上限：
  　小型：400SPM（1980年代　JIMTOFで実演）
  　中型：350SPM
  　大型：130SPM
• 加工精度例：偏肉/位置精度など3ミクロン（Min.）
• 段取り時間：15～45分（複数例）
• 金型構想などがもたらす金型製作費/維持費の低減
  複数のお客様の定量化概要によれば数分の１になった例も少なくない
• 製品立ち上がり時間：複数のお客様での実績としては平均1/3化

上述の実績が常用化できた背景：

• プレス本体は順送加工方式で常用化されている超精密・高速加工用プレスと等質のものを使用している。（呼称能力目一杯での連続使用可能の高剛性構造と動的挙動にも配慮したJIS特級精度を大幅に上回る高精度構造を活用できる様にしました。因みにトリプルクランク・プレスの第１号機はトランスファー・システムで具体化されました）
• 独自の構造に基づく高精度/高速トランスファー機構
• 被加工材を常に安定保持できる構造
• シンプルな金型構成と再現性の高い金型保持機構
• それぞれのお客様のこれまでの実践の特質も反映する特殊対応
• 数値解析手法を含めての長年の取り組みから得られたお客様との協同体制

トランスファー加工方式の新しい活用例：（ジグザグ送り方式による材料歩留りの向上）

　プレス加工の広がりと共に、高価な新素材が使用される度合いが増え、材料歩留がコスト面で一段と大きなウエイトを占める様になり、トランスファー・システムの高速化の現実に誘発されて、 在来は順送加工が常態と考えられて来た加工内容がトランスファー加工化され、材料歩留の向上が大幅なコスト低減化をもたらし、材料利用率84％を可能にした事例があります。